【2024年保存版】所有者不明土地を買いたい!使える制度と選び方
こんにちは。司法書士の惠藤真代です。
最近、ニュースや情報番組でも「空き家問題」がよく取り上げられています。
「あの土地が欲しいけど、空き家もあるし所有者がわからない…」
「土地を売却したいのに、近くに所有者不明の土地があるせいで境界の確定すらできない…」
「お客様から土地購入の依頼を受けたけど、所有者がわからないせいで進めようにも進められない」
この記事では合法的な「所有者不明土地の買い方」「行方不明の所有者と境界を決める方法」について、実例を交えてお話しいたします。
15年以上にわたってスムーズな不動産取引のお手伝いをしてきた経験が、あなたのビジネスの一助となれば幸いです。
1.所有者不明土地とは?その発生原因は?
※そんなことより早く解決策を知りたい!という方は、3.へGO!
まず、以下について確認をしておきましょう。
Ⅰ 「所有者不明土地」とは何なのか?
Ⅱ 所有者不明土地の発生原因は?
Ⅰ 「所有者不明土地」とは
所有者不明土地とは、「所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地」(民法第264条の2第1項)のことです。
・登記記録に載っている所有者と連絡がつかない
・亡くなっているはずだが相続人がわからない
・生死すらわからない
・そもそも所有者の記録自体がない
・所有者が法人だが、すでに解散してしまっており、清算人とも連絡がつかない
などなど、ケースは様々です。
この記事では、問題になることの多い個人が所有している土地について扱います。
Ⅱ 所有者不明土地の発生原因
では、なぜ所有者不明土地になってしまったのでしょうか?
これには主に二つの原因があります。
① 所有者が亡くなっているのに、相続登記が行われていない
② 所有者が引っ越しをしたが、住所変更登記が行われていない
相続登記も住所変更登記も、現在のところ行う義務はありません。
登録免許税など登記にかかる費用もばかになりませんので、しなくていいのであればしない、という方も多かったのでしょう。
しかも、恥ずかしながらこれまで司法書士自身が、「任意ですしお金もかかるので、売却などする時にまとめてやればいいですよ〜」なんて、親切心のつもりで案内してきたんですね。。。
その結果、管理のされていない空き家・空き地を増やしてしまい、近隣住民の方々に不安を与えている、という現状をもたらしています。
これが最近よく聞く「空き家問題」です。
そこで、相続登記、住所変更登記については、義務化されることがすでに決まっています。
怠った場合は罰則もありますが、どこまで実効性があるものなのかは、今後の実際の運用次第といったところです。
まとめ
所有者不明土地とは、「所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地」であり、その主な原因は、住所変更登記・相続登記がされていないこと、でした。
2.「所有者不明土地」かどうかの調査方法
Ⅰ 不動産の登記事項証明書を取得する
Ⅱ 登記事項証明書上の所有者の住所・生死を調査する
① 「第三者請求」を利用する
② 司法書士などの「職権」を持つ専門職に依頼する
③ 物件所在地の自治体の「防災安全課」に連絡する(裏技!)
Ⅲ 所有者不明土地じゃなかった!という場合はどうする?
Ⅰ 不動産の登記事項証明書を取得する
ある土地(建物)の所有者を調べるときには、その土地建物の登記事項証明書を取得します。
いわゆる「登記簿」という言葉なら馴染みがあるでしょうか?
登記簿は、最寄りの法務局で取得することができます。
ここで、所有者の記録自体がない不動産がまれに存在します。
その場合は基本的に「所有者不明土地にあたる」とみていいのではないでしょうか。
さて、登記記録上、所有者として記録されている人物に連絡が取れるのなら、当然ですが所有者不明土地ではありませんね。
問題は、まったく連絡がつかない場合です。
その場合は、所有者の住民票や戸籍を調査して、追跡していくことになります。
この調査によって所有者が判明することもあります。
Ⅱ 登記事項証明書上の所有者の住所・生死を調査する
住所や戸籍の調査はどうやってするの?
① 「第三者請求」を利用する
② 司法書士などの「職権」を持つ専門職に依頼する
③ 物件所在地の自治体の「防災安全課」に連絡する
ところでさきほど、サラッと「住民票や戸籍を調査」などと書きました。
読んでいる皆さんは、「今の時代、他人の住民票なんてどうやって調査するんだ?」と思われなかったでしょうか?
そうですよね。個人情報にうるさい令和のこの時代に、お役所も簡単には人様の住民票を調べてなんてくれません。
しかし、そんなときのための調査方法がちゃんとあります。
順に解説していきます。
① 「第三者請求」を利用する
住民基本台帳法第12条の3第1項、戸籍法第10条の2第1項により、
ⅰ 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために記載事項を確認する必要がある
ⅱ 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある
ⅲ 正当な理由がある
以上に該当する方は、委任状がなくても他人の住民票や戸籍を取得できる、ということになっています。
しかし…自治体にもよりますが、この要件は結構シビアです。
基本的に、権利義務関係があることがわかるような契約書など、疎明資料を出さなければ応じてはもらえません。
個人的な感覚ですが、お役所はことなかれ主義ですので、先例がないものはなかなか通してくれませんし、…「規則ですので」の一点張りで本当に法律を理解しているのか疑問な担当者も、残念ながら窓口レベルでは多数存在します。
愚痴になりそうなのでこのくらいにしておきますが(笑)、今回のように「所有者不明土地を購入するために調べたい」という場合は、まだ何の権利義務も発生していない状態です。
専門知識のない一般市民が疎明資料というものを用意すること自体が、そもそも難しいでしょう。
ということで、あまりおすすめはしませんが、臨機応変に対応してくれる役所もあると思いますので、ご自身で手続きをしたい方はまずは電話で問い合わせてみることも一つの手ではあります。
② 司法書士などの「職権」を持つ専門職に依頼する
司法書士である筆者がいうのもなんですが、コレは強いです。
弁護士、司法書士、土地家屋調査士など、いわゆる「士業」と言われる立場の方々は、「職権で」住民票・戸籍を取得することができます。
もちろん、それも無制限ではありません。
「受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には」という制限があります。
この「必要がある場合」の判断は私たち専門家にゆだねられている部分ではありますが、この職権を濫用した事件が一時期多発し、職権の行使については業界的にかなり厳しくなっています。
間違えると懲戒処分を受けて資格を失いかねないので、私たちもその利用にはかなり慎重です。
その分、専門家が業務として行っている、という点で、一定の信頼を得ることができます。
その結果として、役所からもさほど追及されることなく、調査することができるのです。
というわけで、司法書士等の国家資格者に依頼をした場合には、ほぼ確実に住民票や戸籍を直接しらべて、土地所有者の現在の住所や生死、もしくは逆に住所や生死が確認できない「所有者不明土地であること」を確認できるわけです。
③物件所在地の自治体の「防災安全課」に連絡する
③は、少しイレギュラーです。
直接的に住民票や戸籍を調べるというわけではなく、自治体に調べてもらう、というものです。
2015年5月26日に施行された「空家等対策特別措置法」により、現在各市区町村では、放置すると危険ないわゆる「特定空家」と言うものの指定を行っています。
特定空家についての詳細は別の機会に譲るとしまして、特定空家に指定されてしまうと、危険な状態を改善するように「勧告」がされます。
では、「勧告」をするには、どうすればいいでしょうか?
そう、所有者が誰であるか、どこにいるのか、調べないといけないですよね。
あなたが買いたい土地上にある建物がすでに自治体から危険視され、特定空家に指定されているような物件であれば、すでに自治体が所有者を把握している可能性があります。
自治体としても、危険な空家は早急に何とかしてほしいですから、「その空き家を買い取りたいんです」と伝えれば、役所の担当者から所有者に連絡先を伝える程度ならしてくれることがあります。
その担当者が、(市区町村によって名称は様々ですが)「防災安全課」のような名称の部署にいるため、そちらに連絡してみましょう、というわけです。
ただし、これも万能ではないことを頭に入れておいてください。
自治体が所有者を調査済みとは限らないですし、これから調査してもらえるとしても専門家に頼むよりもかなり時間がかかります。
まとめ
以上をふまえると、お金をかけたくない方は①か③でチャレンジしてみる、多少費用が掛かっても確実に進めたい方は②専門家に依頼する、というのがよいでしょう。
Ⅲ 所有者不明土地じゃなかった!という場合はどうする?
「この土地は所有者不明だろう」と思っても、実際に調べてみるとそうではない場合もあります。
住民票を調査したら現在の居場所が判明したり、戸籍を調べるとすでに亡くなっているが相続人がいたりしたケースがこれにあたります。
所有者の現住所が判明した場合は、そこに手紙を送ったり、実際に訪問したりなどして、売却の交渉をすればよい、ということになります。
また、相続人がいる場合も同様です。
ただし!このときには先に「相続手続き」が必要になってしまいます。
単純に相続人がその物件の存在を把握していなかっただけ、というケースであれば、それほど問題にはならないかもしれません。
しかし、それまで相続手続きをせずにいたことには何らかの理由(相続人の間でもめているなど)があることも多く、この場合は買取の交渉も難航することになります。
さらに、所有者が亡くなったのがかなり昔の場合、相続人自身も亡くなって相続を繰り返し、ネズミ算式に相続人が増えてしまっていることもあります。
そうなると、話をまとめ上げるにはかなりの時間と労力がかかってしまいます。
このあたりのお話は、また別の記事で詳しく解説していきたいと思います。
次章では、調査の結果あなたの買いたい土地が所有者不明土地だった場合に、どのような制度を使うことができるのかを解説していきます。
3.国に頼ろう!用意されている制度と場面別活用方法
令和5年4月1日、民法改正により、「所有者不明土地・建物管理制度」というものが新設・施行されました。
この章では、従来の制度との比較を交えながら、主に所有者不明土地・建物管理制度について解説していきます。
Ⅰ所有者不明土地建物管理制度と従来の制度との比較
①不在者財産管理人選任制度
②相続財産清算人(旧:相続財産管理人)選任制度
③失踪宣告
Ⅱ所有者不明土地・建物管理制度とその要件
要件
① 裁判所は
② 所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地について
③ 必要があると認めるときは
④ 利害関係人の請求により
⑤ その請求に係る土地又は共有持分を対象として
⑥ 所有者不明土地管理人による管理を命ずる処分(所有者不明土地管理命令)をすることができる
Ⅲ売却してもらうには
Ⅰ 所有者不明土地建物管理制度と従来の制度との比較
まずは従来の制度について簡単に触れておきます。
すぐに所有者不明土地・建物管理制度について知りたいという方は、Ⅱへ進んでください。
従来、行方不明者が所有している土地建物を管理処分するためには、以下の制度が用意されていました。
①不在者財産管理人選任制度
②相続財産清算人(旧:相続財産管理人)選任制度
③失踪宣告
①不在者財産管理人選任
「不在者」(従来の住所又は居所を去り,容易に戻る見込みのない者)といわれる行方不明者の財産を全て調査して管理しよう、というものです。
所有者不明土地建物管理制度と似た制度ではあるのですが、所有者不明土地建物管理制度が「物件」単位であることに対し、不在者財産管理人制度は「人」単位の制度です。
・不在者にかかる財産をすべて調べ上げなければならない
・管理処分が全て終了するまで手続きを終了することができなかった
以上から、特定の不動産の管理処分だけを目的として行うには余分な費用や手間がかかることが問題となっていました。
②相続財産清算人(旧:相続財産管理人)選任
調査をした結果相続人がまったく存在しなかった場合に利用できる制度です。
詳細は省略しますが、以下が難点でした。
・官報による公告を何度も繰り返す必要があり、手続きがかなり長期化する
・手続きにかかる費用としても、①よりもさらに高額になる傾向にある
私が実際に携わった案件では、ご相談を受けてから当初の目的を達成するまでに2年近くの期間がかかりました。
③失踪宣告
不在者につき、その生死が7年間明らかでないときなどに、家庭裁判所が行うものです。
法律上死亡したものとみなす効果を生じさせますので、不在者に対する影響は非常に強いものとなります。
こちらは基本的には不在者の配偶者や相続人にあたる方が利用することを念頭においたもので、単に特定の不動産の管理処分を求める場合にはふさわしくないと言えるでしょう。
つまり、従来は行方・生死ともに不明の場合は①を、死亡しているが相続人がいない場合は②を選択するというのが実務でした。
そこに登場したのが、所有者不明土地建物管理制度です。
Ⅱ 所有者不明土地・建物管理制度とその要件
ここでは、条文をヒントに、申し立てるための要件について解説します。
・わかりやすくするために、一部省略しています。
・すべて「土地」とありますが、建物についても同様に考えていただいて大丈夫です。
【申立ての要件】
① 裁判所は
②所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地について
③ 必要があると認めるときは
④ 利害関係人の請求により
⑤ その請求に係る土地又は共有持分を対象として
⑥ 所有者不明土地管理人による管理を命ずる処分(所有者不明土地管理命令)をすることができる
令和5年4月1日、民法改正により、以下の規定が施行されました。
※あとで解説しますので、じっくり読まなくていいです!
(所有者不明土地管理命令)
第264条の2第1項裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地(土地が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る土地又は共有持分を対象として、所有者不明土地管理人(第四項に規定する所有者不明土地管理人をいう。以下同じ。)による管理を命ずる処分(以下「所有者不明土地管理命令」という。)をすることができる。
法律の条文って読みにくいですよね。。
これがざっくりどんな制度かというと、利用・買取をしたい方がいる所有者不明土地・建物について、裁判所が管理人を付けてくれるよ、という制度です。
(ちなみに、建物については264条の8でほぼ同じ内容の規定があります)
そして、裁判所の許可を得ることによって、管理人からその土地建物を買い取ることができる(民法第264条の3第2項)のです。
筆者が実際にお仕事としてお請けしたご相談でも、この制度が始まるのを待って利用した案件があるくらい、従来の制度と比べて使いやすくなっています。
ではまいりましょう。
① 裁判所は
不動産所在地を管轄する地方裁判所に、申立てをして行います(非訟事件手続法90条1項)。
裁判所の管轄は以下のリンクから確認できます。
②所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地について
「所有者不明土地」であることが必要です。
この記事の『2.「所有者不明土地」かどうかの調査方法』で解説していますので、まだお読みでない方は確認してみてくださいね。
③ 必要があると認めるときは
管理命令を出すのは、相当の必要性がある時に限ります。
所有者の承諾なしに裁判所が強制的に行うものだからです。
あとから所有者があらわれたときに、たいした理由もなく自分の財産が勝手に処分されていたら、びっくりしてしまいますよね。
制度の運用も始まったばかりですのでどの程度必要なのかははっきりした基準はないのですが、空き家空き地対策という制度の趣旨から考えても、それほど厳格なものではないように感じられます。
本気でこの土地を買いたい!その必要性もある!
とご自身が思うのであれば、やってみる価値は十分にあると思います。
④ 利害関係人の請求により
先のⅠ①~③の制度と同じく、この制度を利用するには「利害関係」が必要になりますが、「買取の意向を有する」ことでも利害関係があると考えてもらえる、という点がポイントです。
買取の意向といっても、ただ漠然と「買いたいなあ」と思っているだけではダメです。
具体的にその土地建物を購入してどのように利活用するつもりなのか?
具体的にいくらで買おうとしているのか?
など、購入計画に一定の具体性・実現可能性があることが必要になると思われます。
⑤ その請求に係る土地を対象として
対象はあくまで「所有者」ではなく「土地(=不動産)」です。
不動産単位での管理となるため、余分な調査などの手間もかけずに済み、手続きにかかる費用も従来より安価に済むことが期待されています。
⑥ 所有者不明土地管理人による管理を命ずる処分(所有者不明土地管理命令)をすることができる
以上の①~⑤の要件を満たしてはじめて、所有者不明土地管理人を選任してもらうことができます。
所有者不明土地管理人には、弁護士、司法書士、土地家屋調査士など、事案の内容に応じて適切な人物を裁判所が選定し、選任します。
筆者の経験上は弁護士が選任されることばかりでしたが、正直「このケースなら土地家屋調査士がよかったなあ…」とか、「不動産取引のことはあまり理解してないんだなあ…」と思うこともありましたので、今後に期待です。
所有者不明土地管理人が選任されたら、やっとそれから売却の交渉に入ることができます。
Ⅲ 売却してもらうには
所有者不明土地管理人の権限については、以下の規定があります。
(所有者不明土地管理人の権限)
民法第264条の3
1(省略)
2所有者不明土地管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもって善意の第三者に対抗することはできない。
一 保存行為
二 所有者不明土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
売却は典型的な処分行為にあたりますので、「裁判所の許可を得なければな」りません。
裁判所は買取価格が相場に比して適正か、売却の必要性があるかどうかなどを総合的に検討し、売却の許可を出すかどうかを決定します。
筆者の経験上は、管理人が選任されている時点である程度の審査は終わっており、よほど相場から外れた買い取り額でなければ、問題なく許可はおりているという印象です。
以上、所有者不明土地管理制度と従来の制度の比較について解説してきました。
最後に次章では、どの専門家に相談すればよいか?その選び方について考えてみたいと思います。
4.相談すべき相手の選び方
あなたの買いたい土地が「所有者不明土地」にあたりそうな場合、いったい誰に相談するのが適切なのでしょうか。
①弁護士
②司法書士
③土地家屋調査士
④地方自治体の相談窓口
①弁護士
いわずとしれた法律の専門家です。
法解釈や裁判所への対応については、他仕業の及ぶところではないでしょう。
所有者不明土地管理制度は地方裁判所への申立てにより行うものですので、一番適任のように思われます。
弁護士に頼むデメリットとしては以下が挙げられます。
・費用が(他の士業と比較して)高い
・不動産取引について精通していない場合がある
弁護士に依頼する場合、すべて代理人として任せることができます。
その分、当然ですが費用は高額になります。
また、不動産関連の事件を得意とする方とそうでない方がいらっしゃいますし、特に登記のことに関してはあまり理解しておられない方が多いように感じます。
不動産については登記は切っても切り離せないものですので、この点に造詣があるかどうかという点も重要ではないでしょうか。
②司法書士
司法書士という職業は、最近は少し知名度も上がってきたかもしれませんが、「いったい何の仕事をしてるの?」と聞かれることもまだまだ多いです。
ご存じの方は、まず思いつくのは「不動産登記の専門家」でしょうか。
不動産の売買にかかわる名義変更や、相続手続きを行うのが司法書士です。
司法書士は登記手続きだけでなく、裁判所に提出する書類の作成を行うこともできます。
司法書士に頼む際のデメリットは、以下の通りです。
・代理人にはなれないので、依頼者の方がご自身で動く必要がある場合がある
・弁護士ほど法律や裁判所との調整に精通していない
とはいえ、不動産取引に関する知識については弁護士にひけをとらないと自負しておりますし、弁護士に比べれば、その報酬も安価で済むのがメリットです。
③土地家屋調査士
土地家屋調査士とは、その名の通り土地や家屋の調査・測量、境界の確定、保存や滅失の登記手続きを専門として行う方々です。
土地家屋調査士には、裁判所に提出する書類を作成したり申し立ての代理人になるような権限はありませんので、直接的に所有者不明土地管理制度を利用するために依頼をかけるということはないでしょう。
ただ、所有者不明土地との境界が問題になる場合には、境界問題の専門家として、弁護士や司法書士と連携して事案にあたることも多く、筆者もいつもお世話になっています。
④地方自治体の相談窓口
各地方公共団体における相談窓口も設けられており、国土交通省のホームページにて案内されています。
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr2_000015.html
まずはご自身で取り組みたい、という方は、この窓口に問合せてみることも有用でしょう。
ただし、様々な制度が絡み合った問題への対応窓口ですので、「たらい回し」にされる可能性は覚悟しておいたほうがよさそうです。
(上記のホームページにも、「※ 法律には複数の制度が盛り込まれておりますことから、連絡窓口において、それぞれの担当部局を別途御案内させていただくことがございますこと、あらかじめ御承知おき願います。」という記載があります)
まとめ
以上、所有者不明土地を買いたい方のための基礎知識を解説してまいりました。
①所有者不明土地にあたるかどうかを調査する
②所有者不明土地にあたる場合、どの手続きが適切かを判断する
③選んだ手続きに応じて、裁判所に申し立てをする
④選任された管理人と交渉し、裁判所に許可を得たうえで買取を行う
流れとしてはこの通りですが、ここに書ききれなかったさまざまな論点はほかにもたくさんあります。
法的な問題が絡み合っていますので、自力で進めようと思うと時間もかかってなかなか難しいと感じる方も多いのではないでしょうか?
そんなときのために、私たち専門家がそばにいます。
まずはお気軽に、相談してみてください。